有田焼はなぜすごいか。

一口に有田焼と言っても、有田焼には独特の作風があるわけではありません。

有田で作られた磁器を有田焼といい、作風はそれぞれの窯元で切磋琢磨して
独自のものを生み出しているのです。

400年もの間続いている有田焼はそれぞれが競うようにいい作品をつくるべく
邁進しているのです。

それぞれの窯元が独自の技法を編み出し、日々いい作品を制作しています。

その中でも、本日ご紹介するのは、「墨はじき」という技法です。
墨はじきは今右衛門窯の得意な技法で、十四代の今泉今右衛門氏は
この技法を発展させた「雪花(せっか)墨はじき」という技法を生み出し
人間国宝に指定されました。

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墨はじきとは、江戸時代、1650年頃からある技法で名前の通り素地に
墨で模様を描き作り出す作風のことです。
墨で描いた図案の上に染付をして焼成すると、墨の部分には呉須が乗らず、
焼成によって墨が蒸発して、白抜きの模様が現れるのです。

普通に呉須で絵を描くのに比べ手が多くかかるうえに、
墨はじきによって描かれた作画はよく言えばやさしく、控えめな印象を、
悪く言うとぼんやりとした印象を与えるため主張が弱く
主文様ではあまり使用されず、背景として使用されることが多い技法でした。

手間と、神経を細かく使うこの技法は、色鍋島の高い品格の元となっている技法では
ありますが、近年あまり使われていない技法ではありました。

しかし、ある日十四代の今泉今右衛門氏が、墨はじきで梅の花の芯を描くと、
焼き上がりが雪の結晶に見えることに気づき、何度も何度もの試行錯誤の上、
雪の結晶文様を追求していき、生れたのが「雪花(せっか)墨はじき」です。

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十四代の今泉今右衛門氏は、この「雪花(せっか)墨はじき」によって
「墨はじき」の作画を主文様へと採用しました。

墨で描いた雪の結晶の上にさらに、白の化粧土をのせ、白だけの濃淡で文様を魅せる。。
少し離れただけで見えなくなるような淡く微妙な見ていると雪の世界に吸い込まれるようです

上絵付の際にプラチナを施して変幻な白金色を輝かす「プラチナ彩」とともに独自の雪景色を磁器の中にくり広げた作品は圧巻です。

※プラチナ彩を使った作品の写真がなくすみません、、、、

ですが、写真では写らないような繊細な文様は是非一度生でご覧いただくことをお勧め致します!!!!

こういった繊細な職人技、細やかな技法によって有田焼によって有田焼は支えられています。

是非いろいろな作品の中でお気いりを見つけてみて下さい。

次回は別の技法をお伝え致します。