1610年代から、赤絵が登場する1640年代頃までに焼かれた初期の有田焼を初期伊万里いいます。

この頃の製品は、白磁に青一色で模様を施した染付の磁器が中心で、鉄分を多く含む粘土を使用していたため素地の質もけっしてよくはありません。また磁壁も厚く、ゆがんでいびつな形や窯傷・釉剥げなどが多くみられます。また呉須の発色は青黒く、ぼかしの少ない濃淡のはっきりしたものが多い等、当時の中国・景徳鎮の磁器にまったく対抗できるものではありませんでした。ですが、技術的には未完成ながら、力強い自由な筆致とやわらか味のある質感は素朴な魅力を備えていることが特徴であるともいえます。

また、この時期の製品は絵付けの前に素焼を行わない「生掛け」という技法を用いて作成されていました。

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