江戸時代の鍋島でもよく使われていた伝統的な白抜きの技法です。

染織のろうけつの技法とよく似ていて、素焼きの素地に墨で文様を描き、その上に呉須を塗ってから焼成すると墨に含まれる膠分が撥水剤の役割を果たして、かつ墨が焼き飛んで、墨で描いた部分が呉須をはじき白抜きで残ります。

「墨はじき」で描かれた箇所は、染付の線描きに比べるとやさしい控えめな印象で仕上がり、鍋島ではこの「墨はじき」による技法を、主文様を引き立たせるための脇役の表現方法等に多用していました。

18世紀の清朝の染付磁器にも墨弾きと思えるものはありますが、数は少なく、技法としても完成度が高いとはいえませんでしたので、日本に入ってきて発展したものと考えられています。

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